よくわかんないけど〇〇
黒柴さんとお付き合いを始めて、そういえば今まで身近にサラリーマンをやってる人がいなかったことに気付いた。
親も、兄弟も、友達も、元交際相手たちも。
いわゆる就活とやらをやって、スーツ着て民間企業に勤めて、出世して、みたいなこととは無縁の世界にいる人たちばかりだった。
私自身も「動物のお医者さん」なんていう特殊な世界に身を置いているため、黒柴さんと仕事の話をしても全く噛み合わないことが多い。
内々定って何?
部長と課長と係長だったら誰が1番偉いの?
日経テストで800点以上って何をどれだけ勉強したら取れるものなの?
こんな社会人としての常識みたいなことが、私には全然分からない。
でもそれは黒柴さんにとっても同じことで。
私が普段仕事でどんなことをやっているのか?
ミニマリスト的な生活とは?
ゲストハウスって?
ブロガー同士のオフ会??
白猫彼女の生態は謎が多いというか、よく分からんことばかりだと思う。
それでもお互いに知識のなさを見下すわけでもなく、勝手に卑屈になるわけでもなく、適度な興味と距離感で上手くいってるような気がするのはどうしてだろう?
好奇心旺盛な性格、仕事で鍛えた傾聴力、学習欲、知識欲…そんなものもあるのかもしれないけど。
一番は「感覚を共有したい」という気持ちと、「相手の人生を少しでも良くしたい」という意志なのかな、と思っている。
お仕事の内容を完全には理解できなくても、「今はすごく頑張りたいんだな。」とか、「がっつり休んで頭を切り替えたいんだな。」とか、そういう感覚的な部分に共感を示すことはできる。
相手の人生が少しでも上向くことができるために、私には今何ができるのだろうかと、微力ながらも思考を巡らすことはできる。
元々、専門分野以外のことも、人に対しても全然興味はなかったはずなんだけどさ。
黒柴さんは、私が突然なんかのオタクスイッチが入ってマニアックなトークを始めても耳を傾けてくれるし、どんな世間知らずでアホな質問をしても馬鹿にせず律儀に応えてくれる。
だから私も、「よくわかんない」ということを言い訳にはしない。
よくわかんないけど、楽しそうならそれで良い。
よくわかんないけど、面白そうだからもっと知りたい。
よくわかんないけど、困っていたら助けたい。
「幸せにする」なんて言うとおこがましいけれど、相手が幸せを感じる過程にほんの少しでも関わることができるなら、すごく嬉しいなと思う。