黒柴彼氏と白猫彼女

方言丸出しカップルの日常

こっそり・ゼ◯シィ・はよ気付きぃ!

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プロポーズされた翌日。

 

私は本屋で悩んでいた。

 

結婚すると言っても、具体的にどうすればいいのか分からぬ。

 

さらに困ったことに、黒柴さんが私以上に何も分かっていない。

 

とりあえずの知識で、両親への挨拶や顔合わせ、新居引っ越し等にまつわる手続きのあれこれの話をしたものの、「にゃんす家めんどくせぇ…」みたいな空気感。

 

いやいや、結納も婚約記念品も結婚式もやらないかやっても最低限みたいな時点でかなりミニマムだからね⁉︎

 

めんどくさいのは私じゃなくて、日本社会の婚姻制度じゃー!

 

というわけで、2人の知識の共有と世間一般の常識を学ぶために本屋へ。

 

とは言え、「結婚準備のしきたりとマナー」みたいな分厚い本をパラパラめくってみても、あんまりピンと来ないし、大体が式の準備のことばっか。

 

2ヶ月後に婚姻届を出そうとしている私達にはあまり必要なさそう。(そもそも2ヶ月で挨拶等と引っ越しと婚姻届提出までやろうとするのが無謀なんだけど)

 

どうしようかなと思っていたら、雑誌コーナーでやたらとキラキラした表紙が目についた。

 

結婚準備丸わかり号!

彼がやることはこれだけ!

面倒な手続きもこれで解決!

 

おぉ、ええやんけ。

そして値段が300円。

これは買うしかあるまい…!

 

しかし、あのゼクシ○である。

 

結婚を急かす彼女が彼氏の前に積んでプレッシャーかけるやつでしょ?

 

昨日の今日でもう買ってくるって、私めっちゃ浮かれた奴じゃない⁉︎

 

しかもこんなスッピンぼさぼさな格好でキラキラ雑誌買うの、恥ずかしい…。

 

うん、やっぱやめた!

今度黒柴さんが買ってくるか、2人で買いに行けばいいんや!

それよりも今夜のおでんの準備のほうが大事!

スーパー行こうっと。

 

そんな訳でヘタレにゃんすは本屋から逃げ出した。

 

そしてスーパー。

 

しょぼい雑誌コーナーのくせに、キラキラしたあいつがいらっしゃる…。

 

そして幸いにもここはセルフレジ。

 

こう、上手いこと隠しながらなら私でも買えるかも…!

 

という訳で、キラキラ表紙をがんもで隠しながら通すセルフレジ。

表紙を飾るモデルさんに心の中でごめんと謝っておく。

帰宅しておでんをコトコト煮込みながら、パラパラとめくってみる。

 

うーーん、見事に広告ばっか。

そりゃ300円だもんね。

でも、結婚までのスケジュール表とかやることリストは役に立ちそう。

 

彼専用のは、「男もマリッジブルーになるけど大丈夫⭐︎」みたいなのじゃなくて、「男性側が名字変更してみた体験談」「彼女と手分けして効率良く動くための手続き一覧!」とか、もっと具体的なタスクを書いて欲しい。

 

エヴァの婚姻届が付いてたのには笑った。

 

という訳で、役立ちそうな情報だけをピックアップし、ソファの端に積んでおいた。

 

あとは黒柴さんの帰宅を待つのみ。

 

ソワソワしながら待っていると、黒柴さんが帰ってきた。

 

さぁ、そこのキラキラ雑誌に気付くがよい!

 

うん、何も気にせずピザの広告を上に積んだよね。

 

くっ、私が今日一日どんな想いでこれを買ったと…!

でも自分からは言い出せない…!

 

とりあえずじっと顔を見つめてみる。

 

「ん?何か食べたいの?」

 

違うそうじゃない。

確かにプリン食べたいときとか見てるけどさ。

 

私は一旦諦めた。

まずはおでんを食べよう。

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ゼク◯ィを買うのにご協力頂いた具材たち。

 

しっかりと出汁が染み込んでて美味しい。

黒柴さんも「これなら毎日食べたい!」と大満足。写真の倍量仕込んでいた分を全てペロリ。

 

ちょっとゆっくりした後は、お風呂にしっかり浸かって温まって。

歯も磨いたし、あとはもう寝るだけ!

 

ってアカンよ。

次会えるのいつだと思っとるん?

明朝は片道2時間のエクストリーム出社やで?

 

がんばれにゃんす!ヘタるなにゃんす!

 

「えぇと、実は今日、こんなものを買いまして…」

 

おずおずとピザの広告の下からキラキラ表紙を引っ張り出して手渡してみる。

 

「あぁ、買ったの?」

 

ほらやっぱりちょっと引いてるぅ!

 

いやいや、でもブライダルフェアのスケジュールとかあるよ⁉︎

無料でフルコースとか食べれたりするんだって!

 

食べ物をダシにしてなんとか興味を釣ろうとするにゃんす。

 

なんだかんだで全部に目を通してくれる黒柴さん。

 

いいぞ、もっと読め!

 

そして読了。

 

「名字変えるのって、結構めんどくさいんだね。女の人は大変だ。」

 

ようやくそこが分かったか。

昨日も言ったけど、貴方が変えてもええんやで?

 

さらに転居もするとなると、上手いことスケジュール組まないと二度手間になってもっとめんどくさいんだよ?と伝えると、そこはピンと来てないようす。なんでやねん。

 

まぁいいや。

これからめんどくさい事をたくさんこなしていく中で、少しずつ実感とか覚悟が湧いてくるのでしょう。

 

ほどほどの冷静と情熱の間で、お互いのペースを思いやりながら事を進めて行きたい。