黒柴彼氏と白猫彼女

方言丸出しカップルの日常

何もない部屋に初めて招待してみた

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黒柴さんとお付き合いを初めてもうすぐ半年。

 

未だに部屋に上げたことがなかった。

 

単純にアクセスや利便性の悪さといった立地の問題もあるけど。

 

それ以上に自分の日常をさらけ出すことに対しての恐れがあった。

 

仕事帰りのくたびれた姿。

家賃3万円代の安アパート。

ガラーンとした何もない部屋。

 

私にとっては、

・好きな仕事に一生懸命打ち込む

・固定費を下げて節約する

・余計なモノを減らして掃除をしやすくする

ための最適解がこうなっただけで、別に無理してるわけでもなく快適に暮らしているんだけど。

 

なぜかこの生き方は他人にすこぶる評判が悪い。

 

・女性らしくない

・ドケチ

・生きてて何が楽しいの?

などと、暴言を吐かれたこと多数。

 

しかも、相手は家族や友人、当時の恋人など、一人暮らしの女性の部屋に招き入れる程度には信頼していた人達である。

 

私、この生き方で貴方に迷惑かけましたか?

 

少なくとも今の関係を築こうと思える程度には容姿も不味くなかったし、ケチでも浪費家でもなかったし、一緒にいて楽しいと思ってくれてたんでしょ?

 

同居しているわけでもない部屋が自分の理想と違っていたからって何でここまで責められなきゃいけないの?

 

そんなこんなで友人も恋人もいなくなった私は、ここ3年ほど誰かを家に上げたことはなかった。

 

恋愛はファンタジー。デートは非日常。

外でキャッキャするだけの楽しい楽しいオトモダチ。

 

でも、私が本当に求めているのは日常を共に歩むパートナー。

 

ここから逃げてばかりいても、望むものは手に入らない。

 

意を決して、仕事帰りのまま合流して自宅に寄ってもらうことにした。

 

張り切って片付ければ片付けるほど生活感が消えていく部屋。

 

1週間前から沈鬱状態である。

 

そんな日に限って、動物のお医者さんとしてのお仕事は、警戒心むき出しのワイルドな相手に傷の治療や排泄処置など、個人的には嫌いじゃなくても一般的にはうわぁ…と思われそうな内容が重なり。

 

終業後にはすっかりボロボロのドロドロで、変にハイテンションになったヤバいやつが完成。

 

いつもはここから1時間近くかけてシャワーや着替え、メイクを済ませて変身するのだが、今日はこのまま職場近くで合流。

 

普段はマンションの高層階に住む黒柴さんを、木造2階建のボロアパートへご案内。

 

部屋に上がるなり、「わーい、広ーい!」と床に転がりだした彼。

 

精一杯生活感を主張しようと置いた座椅子には目もくれない。

 

私が身仕度を終えてもまだ「はー落ち着くー」とゴロゴロしている。

 

最後には「俺、自分の部屋よりこっちが良いー」とか言い出す始末。

 

初めてゲストハウスを案内したときも思ったけど、この人の柔軟性というか適応能力の凄さには毎回驚かされる。

 

ていうか、今までの私のドン引きされまくり人生は一体何やったん。

 

何も気負わなくても、普通に受け入れてくれる人もいるんだ。

 

私の生き方を相手にも強要するつもりは一切ない。

 

ただ、否定せずに認めてくれること。

さらに贅沢を言うならば、価値観の違いを面白がって楽しんでくれること。

 

それが出来る人は本当に少ないし、もし出会えたのなら大事にしなきゃと思った。